無限かな?大粒葡萄の「摘粒」作業~そのコツと一年目の感想~

大阪のド真ん中から山形県置賜地方に移住、大学の先輩が営むブドウ園で働き初めて三ヶ月が過ぎた管理人・モモでざいます。
PCが壊れてブログ更新…どころかログインもできず、ご無沙汰してしまいました。
修理を試みるも叶わず、データのみを復旧してもらい、ネット環境を整え、ようやくカムバックです。嬉しい!
ブログを書けない間もブドウの皆さんはすくすく成長。
今は農業一年生の記録も兼ねるこのブログ、まずは今月の作業を振り返り、遅れを取り戻していきたいと思います。
ブドウの「摘粒」とは
わが農園では醸造用ブドウをメインに育てていますが、生食用の大粒ブドウも大事な生産物。
これまで房作り・ジベレリン処理と進めてきまして、PCが壊れていた間はほぼずっと摘粒という作業を行っていました。
「摘粒」とは文字通り、ブドウの房から余分な粒を摘み取っていくこと。
私がこの仕事を始めて最も驚いたのが、ブドウ本来の粒の多さです。こんなに!
こちらシャインマスカットですが、ミッチミチに粒がついていますね。
これでも予め房作りをしてあるわけで、それもせずにいたら粒は何百個になることか…。
上の画像の状態のままにしておくと、粒が栄養を取り合ってあまり大きくなれませんし、互いに押し合って潰れてしまうのが想像できると思います。
そこで適切な粒数を残してあとはカットしてしまうのが摘粒作業なのです。
大粒ぶどうの摘粒のコツ
ではカットしていく粒の取捨選択はどのようにしていくのでしょう?
まず下の画像のような、ショットベリーと呼ばれる成長しないままの小粒果をすべてカットしていきます。
そして真上や真下を向いた粒、飛び出ている粒、キズなどの傷みが見られる粒を落としていきます。
ここから先で大切なのは、房のまとまり。
生食用ぶどうは見栄えが商品価値を左右するので、あとはバランスが整うようにカットする粒を選んでいきます。
迷ったら小果梗(粒を支える部分)がしっかりしている粒を優先的に残すと、出荷の際の脱粒予防にもつながると思います。
いずれにせよ、粒が肥大したときの姿を想像しながら作業するのが重要ですね。
大粒ぶどうの摘粒・ビフォーアフター
私が今年、摘粒に携わったブドウは藤稔・ピオーネ・シャインマスカットの3種です。
中でもシャインマスカットは軸が曲がりやすいうえ、今年は開花時期に低温期が続いたりしたため、格好よく仕上げるのに難儀しました。
BEFORE
AFTER
だいぶすっきりして風通しが良くなりましたが、はじめは少し多めに残し、袋をかける前にさらに仕上げ摘粒を行います。
開花時期の天候不順により花ぶるいを起こし、支梗の間隔が間延びしたようになっている房は苦戦しました。
BEFORE
↑下部の粒数が極端に少ないのが分かると思います。
AFTER
あまりに間延びがひどい時は房尻を切り詰めるなど、あの手この手で整えていきました。
穂軸が思い切りカーブしているのも非常に悩ましかったです。
BEFORE
AFTER
粒が大きくなると重さでカーブが緩和されるケースもあるそうですが、どうしてもバランスが悪いものはB品になったり自家用になったり…
藤稔とピオーネは粒の成長が早く、今やどっしりとした房になり色も入り、ゴールが見えているので少し安心できますが、シャインマスカットは畑に行くたびにハラハラと見回ってしまう毎日です。
ブドウの摘粒の大変なところ
この作業を行う7月は暑く、35度近いハウスの中で数え切れない房を整えていくのは気が遠くなる…と私は園主先輩に聞いていました。
が、幸か不幸かこの梅雨は低温が続いたため、一年目の今年はそこまでの地獄は見ずにすみました。
が、大粒ブドウの房の数は相当なもの。
やってもやっても「まだこんなに残ってる!」という状態が続き、脳内には無限摘粒の4文字がくっきり。
帰宅して食事をしていても眠ろうと布団に入っても、気づくと摘粒のシミュレーションばかりしていて、夢にも難敵の房が次々現れたのは今思えば笑えますね。
それにTwitterで「嗚呼、無限摘粒」とつぶやいたところ、野菜農家のフォロワーさんや大阪時代の友人が励ましてくれたりしたのは、嬉しくて楽しかった!
ずっと目の前の房とにらめっこをしているので、ふだん度入りのサングラスをしている私は、夕方になると目が見えにくく、どっと疲れるのだけがしんどかったです。
摘粒は膨大な数をこなさなければならないけれど、やっていれば必ず終わる。
私はそういう状況が嫌いではない…というか、むしろ楽しいと思えたのは良かったです。
あとはひたすら良い房に成長するよう祈るのみ。
この重要な行程をほぼ私一人に任せてくれた園主先輩を裏切らない結果になりますように!
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