種なしブドウはこうしてできる!ジベレリン処理の基本と体験記

種なしブドウはこうしてできる!ジベレリン処理の基本と体験記

大阪から山形県の置賜地方に今春移住し、農業という未知の世界に転職したモモです!

山形といえば果物王国。

中でも置賜での生産が盛んなのがブドウで、4月からブドウ農園で働いている私ですが、実は昨年までブドウは特に好きではありませんでした。

子どもの頃に食べたブドウの酸味と、種があることの食べにくさが印象に残っていたからです。

そんな私が唯一好きだったのが小粒の種なしぶどう、つまりデラウェア。

でももちろん、果実なので本来は種があるわけで、種なしにするためにはある作業が行われているんですね。

それがジベレリン処理

多くのブドウはこの処理を行うことで種なしになるのだということを、農園で働いて初めて知りました。

 

ジベレリン処理の時期

春になり新梢が伸びて房ができ始めると、まず摘房という作業を行い、房の数を制限します。

各房が大きくなってくると、次に房作り(詳しくはこちら)を行い、余計な粒を取り除きます。

たとえばシャインマスカットの房作り後の状態が下の画像です。

 

 

そしてブドウの花が開いたら、ジベレリン処理の準備です。

ブドウの品種ごとに多少の違いはありますが、おおむね満開期を目処に行うので、日々の観察が欠かせません。

ブドウの開花の様子がこちら↓

 

 

一つのカプセルに入っているめしべとおしべが、ブドウの花冠(キャップ)を押し上げるような形でブドウは開花します。

上の画像だと下の方の粒がまだ咲いておらず、8割くらいの開花率。

ほとんどの大粒ブドウはほぼ完全に開花したのを目安にジベレリン処理を施します。

ただ、一つの木、一つの梢でも房の開花時期は同じとは限りませんし、天候によって適期にズレが生じます。

置賜にあるうちの農園では今年、6月8日から月末近くまでかけてこの作業を行いました。

 

 

大粒葡萄のジベレリン処理

うちの農園は醸造用のブドウをメインで生産しており、種なしにするのはシャインマスカットや藤稔など生食用の大粒ブドウのみ。

まずジベレリン錠剤を水に溶かし、品種によって12.5ppmから50ppmのジベレリン液を作ります。

 

 

液が赤いのは、食紅を混ぜているため。

こうすることでうっすら赤い色がのるので、ジベレリン処理を行った房とそうでない房を区別することができるんです。

花が咲いたブドウの房を、カップに入れたジベレリン液に浸していきます。

 

 

ジベレリン液はすみずみしっかり浸透させなければいけませんが、一方で液がいつまでも付いたままだと薬焼けで皮にダメージが生じてしまうので、余分についた液をふるい落してあげることも大切です。

ジベレリン処理は二回行う(一回で行う方法もある)ため、目印に残しておいた支梗を片方ずつ取っていきます。

 

 

残した支梗の両方がなくなると、二回ジベ処理を施した印になるというわけです。

一回目と二回目の間は10~14日ほど。

この処理は房一つ一つを手作業で行わなければならず、かなりの手間と時間を要します。

 

 

 

ジベレリン処理を経験して

ジベレリン処理には種なしにする効果だけでなく顆粒を肥大させる効果もあるため、ジベ処理後の成長は著しく、毎日ワクワクしますね。

房作りもそうでしたが、この作業も一房ずつ手をかけるので、細かな観察が身に付いていきます。

どの木のどの枝の辺りの開花が早いか、遅いか。各房の形や大きさ、成長スピード、etc.

そしてどんどん愛着が湧いてくるとともに、ちゃんと出荷までもっていけるかという責任感も大きくなってきます。

 

ところで、ジベの時はラテックスの手袋をしているのですが。

気付かぬうちに人差し指の先端が切れていて、房の上部をジベ液に押し込んだりカップ内に入った粒をつまみ出したりしていたら…!

 

 

これでも拭いましたが、手袋を脱いだ瞬間は素手で殺生でもしたかのような有様でした。

でも多かれ少なかれ、ジベあるあるでしょうか。

ある日のうちの園主などは、まるで返り血を浴びたかのようだったし…。

それにしても、農道からふと見えるベテラン農家さんのジベ処理スピードはすごい!

私は今は丁寧さを第一に進めていますが、来年はもっと手早くなりたいものですね。

 

さて、ジベレリン処理をひと通り終えて7月に入り、大粒ブドウはまるまると成長しています。

今は摘粒という作業に追われていますので、次回の農園日記は摘粒についてお届けしたいと思います。