延命地蔵菩薩に心惹かれる、米沢・笹野観音堂の初秋とお正月

今春、大阪から山形県は置賜地方への移住を目指しているモモです(詳しくはこちら)。
移住後は果樹園で働くつもりで、毎日の農作業日記を書きたくてこのブログを開設しました。
引越しが完了するまでは、昨秋からの農園体験や置賜地方の好きな場所について綴っています。
今回は昨年9月と今月頭、すでに二回お参りに行っている米沢市の笹野観音堂(幸徳院)についてです。
その起源は坂上田村麿呂まで遡り、笹野観音HPによると
弘仁元年(810)七月、現在の地に観音堂が落成し観音菩薩と羽黒権現をお祀りし、会津の高僧徳一上人により入仏供養が行われた。
とのことですから、平安時代からこの場所で信仰を集め続けてきたわけですね。
その歴史の長さをいたるところで感じ取れる境内でした。
9月、夏の終わりの観音堂
私が初めて笹野観音に足を運んだのは昨年9月半ば、残暑で蒸す日でしたが、門前に立つとその奥には爽やかな静けさが感じられました。
こちらは明治6年築の仁王門。
立派な構えに古びた木の味わいが素晴らしく、非常に趣があります。
左右では阿形、吽形の金剛力士像が境内を守っています。
手前の石灯籠にかかっている枝は枝垂桜ですね。春はさぞ美しい景色が見られることでしょう。
そして門の内側には、奉納された大きなわらじが掲げられています。浅草寺みたいだなと思ったのですが、宝蔵門のあの大わらじは山形県村山市から奉納されているのだそうで。初めて知りました!
山門をくぐると、落ち着いた清らかな空気に心身浄められる感覚を得られます。
漱口場。龍の口から水が注がれていました。
毎年1月17日には「十七堂祭」という柴燈護摩のご祈祷をする行事があり、「火渡り」の荒行が行われるそうですが、なんだかそれを連想させる作りですね。
こちらが本堂。ご本尊は千手千眼観世音菩薩です。
現在のお堂は1843年に再建されたものだそうで、重厚な茅葺屋根と精巧で迫力ある彫刻が特徴。
決して大きいわけではないのに、とても存在感のある本堂だと思います。
龍と鶴。
龍と唐獅子。
ほかに鳳凰や麒麟や亀、また鯉に乗る仙人などが彫られており、じっくり見ようとするとすると首が痛くなるほどです。
ところでこちらの本堂、実は裏側に回ることができ、行ってみると羽黒大権現が祀られていました!
直江兼続の命によるものだそうで、修験道の神様です。
HPには
直江兼続が祈祷師の養蔵坊清順に庄内羽黒山より勧請させたと伝える羽黒大権現を後神としてお祀りする。
とありますが、この”後神”という言葉、そして寺の表裏で別の神様を祀るというのが非常に興味深い。
修験道は古神道や山岳信仰や仏教が習合、独自の宗教として発展したもので、神仏分離・廃仏毀釈の際にかなり廃れてしまいましたが、やはり山々に囲まれたこの地域では信仰が絶えることはなかったのですね。
さて観音堂の表と裏でお参りし、右手にある弘法大師堂などをひと通り見て、下ろうとしたら目に飛び込んできたのがこちらの横顔。
1832年に建立された延命地蔵菩薩です。
なんと高さは約5メートル!
とても大きいのですが、庭や背後の緑によく馴染んでいて、その様子に心をつかまれるお地蔵さまでした。
1月、雪の笹野観音堂
年が明け、このお正月にも再び笹野観音にお参りしてきました。
葡萄園の園主先輩が子年で、ねずみの干支の守護本尊が千手観音菩薩なのだそうです。
私は干支ごとに守護本尊があるということも知りませんでしたが、先輩は毎年欠かさずお参りに来ているということで、仕事初めの前に共に参拝。
雪深い米沢の中でも特に豪雪地帯らしく、参道から真っ直ぐは歩けずに脇の駐車場から境内へ。
年末の大雪もあり、この景色です。
しっかりと雪囲い。11月下旬から囲いの作業が行われるそうですよ。
それにしても、雪の中の佇まいもまた素晴らしい…。
しんとして、笹野観音堂の持つ深みが一層凝縮されたような空気感でした。
延命地蔵さまも雪を戴きこのお姿。
ふかふかの雪質だったこともあり、マフラーと帽子をしているように見えました。
本当にきれいなお顔立ちです。
帰りがけ、園主先輩は昨年のお守りをお返しし、新たに今年のをご家族ぶん買っていました。
身代わりのお守りで、昔バイク事故で怪我をした時、中の札が割れていたそうで、命が助かったことを感謝しているそうです。
私にも一つ、買ってくれました。ありがとうございます。
帰宅後にHPを見ていたらじっくり観たい箇所が二つ出てきたので、移住後にまた何度も訪れたいと思います。
桜の季節にも来たいですが、紫陽花がたくさん咲くそうなので、初夏にもまた。季節の花便りも送れそうです。
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