責任重大!シャインマスカットなど大粒ブドウの「房作り」

この春、大阪市のど真ん中から山形県置賜地方に移住し、大学の先輩が営む葡萄園で働いているモモです!
近畿地方はまだだというのに、早くも梅雨入りした東北南部。
ここ数日間は天気や風の強さを細かに観察しながら、大粒葡萄の房作りやジベレリン処理を行っています。
どちらも出荷に向けてとても重要な作業です。
今回は、「葡萄のことを全く知らなかったんだなあ」という感想を抱いた房作りについて書いておきたいと思います。
目を見張る成長スピードとブドウ本来の姿
葡萄については驚かされることばかりの毎日ですが、日照・降水量ともに多かった最近、その成長速度には本当にびっくりします。
葡萄の房がどんどん大きくなっている!
昨年9月から農作業体験に通い始めた私にとって、収穫期以前の葡萄の姿を見るのは初めてで、粒数の多さと形のワイルドさにまず驚きました。
そしてお店で売っている葡萄が、この房の半分以下の部分だということを初めて知りました。
確かに、この粒数のまま大きくなったところを想像すると、とんでもない巨大ブドウになってしまいますよね…。
実際はこのままでは粒が多すぎて一粒一粒が大きくなれず、栄養不足で美味しくなれません。
ではどうするかというと、いわゆる「房作り」という作業。
地域によっては「房切り」「花切り」などとも言うようです。
ブドウの房作りの目的
「房作り」は結実管理で最も重要な作業と言われています。
その目的は養分の十分な供給のほか、商品性の高い房の形に仕上げることです。
葡萄という植物は、それはそれは自由奔放な伸び方をします。房の形も実に様々。
スーパーやデパートに並んでいる葡萄の姿しか知らなかった私は、好き勝手なフォルムを形成する大粒葡萄たちを見て、奇形なのかと思ったほどです。
野菜にも言えることですが、市場では整った形のものが好まれるため、美味しくすることだけではなく、見た目の商品価値を上げることも大切なのですね。
ブドウの房作りのやり方
こちらは今をときめくシャインマスカットさん。山形県南部のビニールハウス、6月上旬の姿です。
右上に一つビョンと出ている塊を副穂、通称「肩」と言い、まずこれを切り落とします。
次に、肩以外の余計な粒の塊(支梗)を取っていきます。その際、主穂の3.5~4cmを残すのが基本。
すると上の房はこうなります。
なぜ二つの支梗を残しているかというと、後にジベレリン処理を二回施す際、目印として支梗を一つずつ切除していくため。
(ジベレリン処理を一度で一斉に済ます場合は不要。)
ただし、先ほども述べたように房の形はそれぞれで、中には下部が丸まっていたり二又、三又に分かれていたりするんです。こんな風に。
上の画像では先の方が二又に分かれていますよね。
このままでは商品にならないので、きれいに形成しなくてはなりません。
その方法も一つではなく、二又の片方を落として整えることもあれば、あえて肩の部分を残すこともある。
この辺りの判断はやはり、経験がものをいうと思います。
ブドウの房作りをした感想
房作りは成長した時の房を想像してしなければならない作業ですが、私には昨年までの経験というものがありません。
「こう作ったらこう育った」というデータがまだ自分の中にないため、日々注意深く成長を見守り、データのストックを積み上げていくしかないですね。
あとは園主先輩の作業をよく観察するようにしています。
それにしても、自分がした作業がそのままお客さんの手に渡る時の姿になるのかと思うと、非常に責任感を感じます。
特に人気のシャインマスカットではかなり悩みながらやりました。
うちの農園は醸造用葡萄がメインですが、生食用の大粒葡萄では、シャインマスカットはやはりエースです。
しかもかなり好評を頂いている商品なので、今年になって急に品質が落ちたと言われないようにしたいもの。
正確&丁寧に仕事ができるよう日々勉強です。
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